ウクライナとロシアの戦争が始まって1ヶ月が経過しました。
ロシアは数日でウクライナ侵攻が終わると考えていたようですが、それと比べると長期化している様子が分かります。
そんな中、SNS上で「ドネツクのデブ猫」という存在が話題となっています。
なにやら「ドネツクのデブ猫」がロシアの食糧を奪っているそうなのですが…本当に存在するのでしょうか?
検証してみました。
食糧を奪う「ドネツクのデブ猫」とは?
Known as the 'Chonker of Donetsk' this brave Ukrainian sleeper agent has hampered Russian supply lines by capturing over a dozen field kitchens. #Ukraine #Russia pic.twitter.com/Y9mBLjtXaI
— Global Conflicts (@Globe_conflicts) March 17, 2022
「ドネツクのデブ猫」とは上記SNSに写っている男性を指しています。
拡散された内容は「ウクライナの潜入工作員”ドネツクのチョンカー”は十数カ所のロシアの補給戦を妨げた」とコメントされています。
ドネツクとはウクライナ東部のことで、チョンカーはネットスラングで「太った猫」という意味だそうです。
確かに写っている人もちょっと太め?ですよね。
「ドネツクのデブ猫」の役割
戦争が起こった際に、長引けば長引くほど大切なのが食事だそうです。
日本でも「腹が減っては戦はできず」という諺があるくらいですし、軍事ジャーナリストによると「食料は兵士にとって楽しみの一つ。奪われれば士気は低下する」と指摘しています。
軍事ジャーナリストは「食料は兵士にとって楽しみの一つ。奪われれば士気は低下する」と効果を指摘した。
引用元:東京スポーツ
つまり「ドネツクのデブ猫」は、敵であるロシア軍の食糧を奪うことで士気の低下を図ろうとしているということが言えます。
外からの攻撃だけではなく、ロシア軍に入り込んで内側から壊そうという作戦だそうです。
なるほど!となりますが、残念ながらこのニュース、フェイクである可能性が高そうです。
「ドネツクのデブ猫」がデマである可能性が高い理由3つ
「ドネツクのデブ猫」がフェイクである可能性が高い理由は3つです。
理由1:工作員なのに顔バレ
Rubizhne City Council building. pic.twitter.com/HDpH1tmUnc
— Aldin 🇧🇦 (@aldin_ww) March 17, 2022
まずウクライナ人がロシア軍に入り込んでスパイ活動をすることは可能だとは思いますが、顔がSNS上に晒されています。
また写真の他に動画も拡散されています。
いくら情報統制が敷かれているロシアだったとしても、このニュースが拡散されればどの軍に従軍している誰かは分かってしまいます。
そのためこの写真や動画自体がウソだと分かります。
理由2:キエフの幽霊もデマの可能性が高い
「ドネツクのデブ猫」の他に2022年2月24日にロシア軍6機を墜落させたとされる「キエフの幽霊」というものが話題となりました。
「キエフの幽霊」とは、ウクライナ軍のMiG-29戦闘機に付けられた名前でペトロ・ポロシェンコ元大統領が「キエフの幽霊」としてツイートした写真が2019年にウクライナ国防省が投稿した写真と同一であるとの指摘もされており、デマである可能性が高いです。
理由3:地元ニュースの切り取り
Visual confirmation of Rubizhne now under full control of Russian Forces and Luhansk separatists. https://t.co/H2AGbxWPa0 pic.twitter.com/Jcrq0b3w5a
— Aldin 🇧🇦 (@aldin_ww) March 17, 2022
この地元ニュースをよく見ると「ドネツクのデブ猫」という人物が写っている様子が分かります。
この画像は真偽不明ですが、ロシア軍がルビージュネを占領した様子とされています。
「ドネツクのデブ猫」はウクライナの情報戦の一部?
ロシアの大国と戦争しているウクライナですが、これは情報戦の一部ではないかという指摘もあります。
実際に存在するかは不透明なままだ。デブ猫も幽霊と同じく、情報戦の一環である可能性はある。
引用元:東京スポーツ
キエフの幽霊は元大統領が真偽は不明でありながら、本物だと公表しているためウクライナ軍主導で「キエフの幽霊」や「ドネツクのデブ猫」を公表している可能性もあるでしょう。
それはロシアの大国に「超大国の横暴に立ち向かう」「弱きを助け強くを挫く」「絶望的な戦争における救国の英雄」と言った英雄伝説に通じるものがあるとの指摘もあり、ウクライナ国外にロシア侵攻への反対への気運を醸成している可能性もありますね。
「超大国の横暴に立ち向かう」「弱きを助け強きを挫く」「絶望的な戦争における救国の英雄」といった、古今東西の英雄伝説に共通する要素をすべて備えた「キエフの幽霊」を、ウクライナのみならず世界中が強く望んだからなのでしょう。
引用元:のりものニュース
キーウの亡霊とかドネツクのデブ猫とか、高度な情報化社会の現代においても現在進行形でこうやって伝説みたいな人物が作られていってるの見ると、僕らが知ってる伝説上の偉人や英雄の殆どはプロパガンダで作られた人物なんかじゃないのかと思っちゃうよね。
— ゆきおか@シンステ10 C-46 (@yukioka) March 19, 2022
上記のツイートされている人みたいに「ジャンヌ・ダルク」とか「神風」とか本当なのかって思いたくなっちゃいますよね。
ちなみにロシアの戦争を予言していた人たちについてはこちらから。